クリープハイプ

クリープハイプ『チロルとポルノ』

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クリープハイプ『チロルとポルノ』

クリープハイプの歌に、『チロルとポルノ』という曲があります。

この曲は、クリープハイプのインディーズ時代のアルバム『ねがいり』に収録され、メジャーデビューアルバムの『死ぬまで一生愛されてると思ってたよ』に再録。

ベースの長谷川カオナシさんお気に入りの一曲でもあります。

途中加入のカオナシさんが、最初にクリープハイプに触れたときに聴いたのが、『チロルとポルノ』だったといいます。

編成は3ピースで、インディーズで『ねがいり』(2006年8月発表)を出したあとだったかな? 共通の知り合いの企画イベントに(クリープハイプが)出ていて。代々木にあるlaboというライブハウスでした。初めて観た瞬間にヤバいなと思いましたね。

そのときから「チロルとポルノ」をやっていたんですけど……それまで私が聴いてきた歌は、歌詞はどうでもいいと思っていたんですよ。世に流れているポップ・ソングの歌詞は、歌うために言葉が付けられているくらいの感じに思っていて。だから、歌詞に重きを置いて音楽を聴いていなかったんですね。

(中略)

でも、尾崎さんの歌は、最初にライブで聴いたときから歌詞が入ってきて。これはすごいなと。あの声質もインパクトあったし。

出典 : クリープハイプ – 長谷川カオナシ(b)のI、哀、愛 – メジャー2ndフル・アルバム『吹き零れる程のI、哀、愛』について、ディープなインタビューを敢行

明るくアップテンポな曲調ながら、エロティックでどこか切ない歌詞が魅力の『チロルとポルノ』。

歌詞のなかでは、たとえば、「あたしのアップの写真を送るから お腹が空いたらチンして食べてね」という一節があります。

この一節は、「チン」という言葉もあるように、性的な「おかず」にしてね、という解釈ができます。

加えて、中学生がタバコを吸っているのを見ると、なぜかあなたを思い出す、というのも、エロティックな意味合いが込められているのでしょう。

また、冒頭では、「毎日毎日働いていたら あなたの名前の漢字を忘れた」と始まることから、彼とのあいだに、物理的、心理的、時間的な「距離」があることがわかります。

おかずにするなら直接会いにいって抱き合えばいいですし、あなたの名前の漢字を忘れるということはそれほど頻繁に連絡はせず、あなたを思い出す、ということはゆっくり記憶が遠ざかっていくことでもあるのでしょう。

彼とのあいだに距離がある歌。

女性視点で歌われる『チロルとポルノ』は、個人的には、失恋のあとも未練が残っている恋や、片想いの曲のように思います。

もしかしたら、彼氏のほうが心が離れつつあるのをちょっと感じている恋愛の歌かもしれません。

歌詞は、その後、「通り雨 あたしを濡らしては 大事な物を見透かされたようで 声には出さないけれど悲しくなって 泣いてしまった」と続きます。

この「通り雨」というのは、「寂しさ」のことかもしれません。

ふいに寂しさが襲ってきては、大事なものが見透かされたようで泣き出してしまった。

もっといえば、寂しさで他の男性と一夜をともにしても、余計に大切なひとの存在が見透かされるような気持ちになって、悲しさから涙が出てしまった、という意味かもしれません。

他のひとで埋めようとすればするほど、大切なものが浮かび上がってくる。

この『チロルとポルノ』は、そういう心境を歌った曲なのかな、と思いながら聴いています。

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